交通経済学の教授にインタビューをしたことがあります。
関東のある地区でコミュニティバス計画が頓挫した事例について聞いたところ、
その教授は堂々と「その件は、知りません」と答えられました。
業界内ではちょっと話題になった事例だったので、
その教授が知らないということに驚いた記憶があります。
知っていることは、包み隠さず、わかりやすく教えていただきましたが、
他にも知らないことははっきりと「知らない」と分けておっしゃっていました。
自分で直接見聞きしたこと以外は、
詳しくお話にならないその態度にプロ意識を垣間見た気がしました。
最近の新卒社員を見ていると、「わからない」とか「できない」ということが
言えなくなってきている感じがします。
調査された数値とか、そういうものはありませんが、
「できない」というと、自分が否定されたように感じるのか、あるいは、
「できない」というと、採用されないと思ってきたのか、
正直に言えないことがあるように思います。
現場で聞く事例としては、次のようなものがあります。
・同期同士で「ああでもない、こうでもない」と話し合っているので、
先輩が聞くとすぐに答えの出るものだった(そばにいるのに、先輩には聞かない)。
・「できます」というのでやらせてみたら、出来上がりがあまりに稚拙。
叱ると「そこまで教えられていません」という。
意識調査で「できないことを『できません』とハッキリ言うようでは、
職業人としての資格に欠ける」という設問では、下記のような結果になっています。
そう思う 25.1%
わからない 18.0%
そう思わない 56.9%
この設問、経年での変化は 「そう思わない」の回答が、52.7%〜59.4%、
「そう思う」の回答が23.8%〜28.8%までの範囲で振れていますが、
増減に一定の傾向は見えません。
他の設問との連動では、この設問に「そう思う」と答えた人は
「企業では、百の知識より一つの成果の方が尊ばれるべきである」という設問で、
「そう思う」という回答が増える傾向があります。

